税理士の選び方

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「税理士をどうやって選べばいいか?」と聞かれることは多い。

税理士向けの本を書き、税理士向けのメルマガを書いている税理士井ノ上陽一自身が考える税理士の選び方についてまとめてみた。
事業を行っている方向けのものである。

0 井ノ上陽一を選ぶべきではない
1 紹介で選ぶ
2 ネットで選ぶ
3 担当者で選ぶ
4 イラッとこないかどうかで選ぶ
5 自分・自社に興味を持ってくれているかで選ぶ
6 料金表があるかどうかで選ぶ
7 年齢で選ぶ
8 場所で選ぶ
9 従業員数で選ぶ
10 サービスで選ぶ

まとめ その税理士へお金を払いたいかで選ぶ

 

0 井ノ上陽一を選ぶべきではない

「税理士の選び方」と題するものだと、「自分を選びましょう」という結論のものが多い。
そうではないことを示すために、まずは、「井ノ上陽一自身を選ぶべきではない」と書いておく。

・電話が使えない
・FAX持っていない
・作業嫌い(作業の効率化は好き)
・1人なのでキャパシティが小さい
・土日夜は対応しない
・節税はやるが脱税は許さない(仕事を受けない)
・税理士側から契約解除することもある
・安くはない
・たばこ嫌い
・夜、延々と酒に付き合わない
・トライアスロンやっているので黒い
・スーツ着てない
これくらい欠点があるので、おすすめはしません。

井ノ上陽一以外の税理士で、いい人が見つかるようにとの願いを込めて、書いています。

1 紹介で選ぶ

税理士を紹介してもらう。
友人、信頼できる経営者から紹介してもらえれば、会ってもいいだろう。

ただし、
・「安いから」という理由で紹介される場合は要注意
・紹介してもらう税理士の他にも検討する
・紹介=即契約ではないことを伝える
点には注意しよう。

紹介だから断れないというのは、双方にある。
それがしがらみになっては意味がない。

2 ネットで選ぶ

ネットでHPやブログ、SNS(Twitter、Facebook)を見ながら選ぶのもいいだろう。
特に、SNSは有効だ。つい本音を書いているケースがある。

HPがない税理士も多く、私が感じるのは、6割くらいの税理士はHPがないイメージだ。
これは、古い業界で平均年齢も60歳をこえているからでもある。

だからこそ、
HPがある=いい税理士、HPがない=よくない税理士
とは、一概に言えない。

実際に会ってみることは必要だろう。

また、ネット上では税理士紹介会社というものがはびこっている。
利用者であるみなさんは、無料だが、税理士から50%から70%の紹介料をとるビジネスだ。
仮に、月10万円払っていても、そのうち5万円から3万円しか税理士に入らない。
通常のお客様と比較してどちらに力を入れるだろうか?
その点もふまえて税理士紹介会社を使おう。

3 担当者で選ぶ

税理士は、国家資格。

ただし、その取得ルートは複数ある。

1 試験を5科目受ける→平均10年かかるといわれている

2 試験を2科目受けて3科目は免除→大学院へ2年間行けば3科目免除される。

3 税務署に一定以上勤める

4 公認会計士をとる(手続きすれば税理士業務ができる)

3と4はともかく、1と2の事実に注目してもらいたい。

試験を受ける場合、大半は働きながら受けることになる。

私の場合、1だが、やはり働きながら受験していた。

この事実が示すのは、税理士事務所の人間がすべてを分かっているわけではないということだ。

私自身、わからないまま担当を持たされ、1人で社長と話していた。

いわゆる担当者では十分なサービスを受けられない可能性がある。

どの税理士事務所に頼むかが、重要なのではなく、誰に頼むかが重要なのだ。

「税理士事務所内で、教育もしているし、最後は先生がチェックしているから大丈夫でしょ?」

と思われるかもしれない。

実際は、そんなものしていない・・。

見て覚えろ、自分で勉強しろと、ほったらかしの状態がほとんどだ。

誰が担当してくれるか?は重要である。

可能であれば、担当者とも面談すべきだ。

税理士業界は、修行中の身、丁稚奉公という側面も残っており、低賃金・長時間労働のブラックも多い。
担当者がころころと変わっているところも珍しくないので、離職率、定着率は面談時に聞いておこう。

4 感情で選ぶ

税理士は先生業という意識の人も多く、上から目線の人がほとんどだ。
私は、税理士の集まりにはいかない。
イラッとするから。

横柄な人が多く、先生といわれて当たり前という人が多い。

だから、面談時にイラッとしたら、契約をやめよう。
通常の取引先を選ぶのと同様だ。

5 自分・自社に興味を持ってくれているかで選ぶ

税理士の仕事は、数字を見つめているだけでは十分なサービスを提供できない。
その背景にある事情、どんなビジネスをやっているか、経営者がどうしたいか、今後どうなるかが大事なのだ。

当然、そのお客様に興味を持っていなければいけない。
会社と税理士は、人と人のつながりなのだ。

自分や自社に興味を持ってくれているかどうかは重要である。
最初の面談でそれはわかるだろう。
自分の税理士事務所の紹介ばかりをしているようであれば、危険信号だ。

6 料金で選ぶ

価格は安いにこしたことはない。
ただ、税理士事務所の場合、価格を安くするには、搾取しかない。

原価のない商売、人件費を下げるしかないのだ。
オフィス、会計ソフト、税務ソフトなどには、いとめをつけないので、人件費しか下げられない。

安いところでちゃんとしたところは、人を安く雇っているところであり、
現実的には、安いところで、ちゃんとしていないところが多い

一見安く、1万円!と書いてあっても、実は、「起業1年以内」や「年の売上が500万円以下」といった条件がある場合もある。
HPに「1万円〜」と「〜」で書いているところも多い。

メニュー、料金表がないところも多く、懐具合(業績)で、料金をとるケースもあるので、注意しよう。

7 年齢で選ぶ

税理士の平均年齢は60歳以上。
もちろん、高齢でも、すばらしい方はいる。

税理士の構成はおおむね次のとおり。
20代 1%
30代 11%
40代 17%
50代 21%
60代 22%
70代 18%
80代 10%

ただ、税理士は考える仕事。
考える仕事には体力も必要。
どうしても衰えはある。

また、時代の流れについていっていない可能性も高い。
今の税法自体古く、時代の流れよりも遅れている。
そんな中、適切なアドバイスをするには、柔軟な思考、フットワークが必要なのだ。
ネットでも情報があふれている中、切磋琢磨する税理士と過去の栄光にとらわれている税理士との間には大きな差が生まれている。

現場を離れている税理士も多く、最新の節税、IT機器を知らない方も多い。
こういったポイントをチェックしよう。
みなさんのビジネスを理解していないかもしれない。

若い税理士は、どうだろうか。
経験不足と思われるかもしれないが、そうではない。

税理士業は経験も大事だが、今も大事だ。
熱意がある若い税理士を選ぶのも1つの手である。

独立前は事務所が責任を取ってくれたが、独立後はそうではない。
独立後の方が、独立前の数十倍、数百倍の経験値となる。
自分で事業をしていなくてお客様の気持ちなどわかるはずはない。

実際、私がそうだった。
独立後に、「今までは机上の空論でしか話してなかった・・・」と気づいた。
戦場に出ないと人は成長しない。

若くして独立している税理士は、その戦場にいる。
若い税理士を選ぶのも1つの手だ。

8 場所で選ぶ

「税理士は近くがいい」

というが、関係ない。

なにかあったらすぐ駆けつけるかというとそうでもないし、場所が近くても心が遠かったらしょうがないだろう。

とはいえ、遠方の税理士を選ぶ理由もなく、普通に行き来できるくらいで選べばいいのではないだろうか。

地方の税理士が安く、首都圏の税理士が高いということもないが、地域差はある程度ある。
東京で、地方の税理士を選ぶのも1つの手だろう。
また、逆に地方で、東京の税理士を選び、東京のビジネス事情9 従業員数で選ぶ

9 従業員数で選ぶ

大きい事務所の方がいいか?

決してそうではない。

大きいが故に高く、サービスが均一化するのがどこの業界も同じだ。

数が多いからと知って、サービスがその数だけよくなるわけではない。

税理士には、2つある。
・税理士事務所 個人でやっているケース、税理士は1人であることが多い
・税理士法人 法人でやっているケース、税理士は2人以上必要。

税理士法人でも形だけ法人にしているケースも多い。
(よくけんかわかれしている)
親子、夫婦でやっているケースもあり、一概にいいとはいえない。

10 サービス内容で選ぶ

・打ち合わせはあるのか
・来てくれるのか、出向くのか
・データ入力もやってくれるのか?
・メールを使えるのか?
・電話対応してくれるのか?
・契約期間は定められているか?契約書はあるか?
・途中で契約解除はできるか?
・何をやってくれるか?
・教え上手か
など、サービス内容は吟味しよう。

作業代行と化しているところも多い。
その一方で、責任を取らなければいけないので、無難なアドバイスに終わる可能性も高いのだ。

また、
・資金繰り
・資金調達
・経営分析
・数字の見方
・経営計画
・納税予測
・わかりやすい資料作成
・税務調査対応
・税務署対応
・経理効率化
そして
・節税
といった、経営者が必要とするサービスは、税理士試験では習わないし、税理士事務所でも教えない。

こういったこともやってくれるかも確認しよう。

まとめ その税理士にお金を払いたいかで選ぶ

税理士選び、迷ったら、その税理士にお金を払いたいかで決めてはどうだろうか。

担当者がよくやってくれていても、そのトップにほとんどのお金がいってします。
それならば、払うべきではない。

その担当者は、こきつかわれて税理士試験を受ける時間も気力もなく疲弊していっている可能性もある。
いずれやめてしまうかもしれない。

それならば、担当者が生き生きとしている税理士事務所に払うべきだ。
税理士は、山ほどいる。
紹介してもらい、検索し、いろんな税理士に会ってみてはいかがだろうか。

いち税理士である私側からいうと、お客様と契約する理由の1つは、
「ランチを食べにいけるか」
である。

一緒にごはんを食べられない・食べたくない相手とは仕事はできない。
税理士という仕事は、信頼の元でこそ成り立つからだ。

「ランチを食べにいけるか」を税理士選びの基準にしても面白いだろう。

叱ったり、偉そうにしていてたりする税理士とはランチには行きたくないはずだ。

最後に。
私は『ひとり税理士の仕事術』という本を書いている。
人を雇わない税理士、ひとり税理士を提唱し、全国でその数を増やしているのだ。

ひとり税理士を提唱する理由は3つ。
・税理士本人が対応してこそいいサービスができる
・独立して戦場に出てこそ税理士の腕は上がる。だからこそ敷居の低いひとり税理士をめざすべき。
・右肩上がりでない今、規模ではなく影響力で拡大する税理士を目指して欲しい。その方が、お客様にもいいサービスができる。

ネットで、『ひとり税理士』と検索すれば、見つかるはずだ。
ぜひ税理士選びの基準にしていただければ。
真摯に対応してくれる新しいタイプの税理士である。